「北海道は家が余っていると聞くから、部屋は見つかりそう」——半分は当たっていて、半分は注意が要ります。北海道には他の地域と正反対の事情があるからです。この記事では全国平均ではなく、北海道のデータと北海道にある窓口だけを見ていきます。
空き家率15.6%——全国で最も急に増えた地域のひとつ
北海道の空き家率は2023年で15.6%。全国の13.8%を上回ります[1]。
注目すべきは、その増え方です。2018年は13.5%でしたから、5年間で2.1ポイントも上がりました[1]。同じ期間の全国は13.6%から13.8%で、上がり幅は0.2ポイントです。空き家率の上がり幅は全国の約10倍にあたります[1]。戸数で見ても、北海道の空き家は5年間で380千戸から451千戸へ18.7%増え、全国の6.0%増(8,489→8,995千戸)の約3倍の速さで増えています[1]。
総住宅数2,889千戸に対して空き家は452千戸[2]。探す側にとっては、選択肢が増えているという意味で追い風です。神奈川県のように「空きが減っている」地域とは、置かれた状況がまるで違います。
住まいの形は全国並み——一戸建51.9%
北海道の住宅は、一戸建が51.9%、共同住宅が44.6%です[2]。全国平均(一戸建52.7%・共同住宅44.9%)とほぼ同じ構成で、東京都(共同住宅71.6%)のような偏りはありません[2]。
持ち家率は57.0%で、全国の60.9%よりやや低い水準です[2]。集合住宅も戸建ても選べる、バランスのとれた市場だといえます。
ただし相談窓口は5か所だけ——全国192のうちの5
ここが北海道で最も気をつけたい点です。国土交通省がまとめた居住支援協議会の一覧(令和8年6月30日時点)によると、全国192協議会のうち北海道内にあるのは5つだけです[3]。
東京都に38あるのと比べると、その差は歴然としています[3]。北海道の広さを考えると、窓口は地理的にかなり薄いと言わざるを得ません。
道全体の窓口は北海道建設部住宅局建築指導課(011-231-4111 内線29471)です[3]。市町村の窓口は次の4つです[3]。
- 札幌市(都市局市街地整備部住宅課)
- 旭川市(社会福祉法人 旭川市社会福祉協議会)
- 函館市(都市建設部住宅課)
- 本別町(本別町総合ケアセンター)
注目したいのは本別町です。十勝地方の小さな町ですが、総合ケアセンターが窓口を担っています[3]。政令市でなくても、地域の実情に合わせて相談体制をつくっている例です。旭川市も社会福祉協議会が担当しており、暮らしの相談から入れる入口になっています。
お住まいの市町村に窓口が無い場合は、道の協議会に直接相談してください。窓口が少ないぶん、道の窓口が広くカバーする役割を担っています。
エリアで選ぶ北海道——札幌/道南/道北/道東
北海道は面積が広く、地域によって条件がまったく変わります。窓口の分布と重ねると次のように整理できます。
札幌は地下鉄・市電・JRが通り、医療機関も集まります。賃貸の供給は道内で圧倒的に厚く、市の窓口もあります。冬の除排雪体制も整っており、通院が続く方には最も条件がよい地域です。
道南(函館など)は市の窓口があり、比較的温暖で積雪も札幌より少なめです。
道北(旭川など)は旭川市に社会福祉協議会の窓口があります。冬の寒さは厳しく、暖房設備の確認がより重要になります。
道東(帯広・釧路方面)は本別町を除いて市町村の窓口が少なく、道の協議会が相談先になります。
雪国ならではの確認ポイント
北海道で部屋を選ぶときは、本州とは違う視点が要ります。内見のときに次を確認してください。
- 暖房の種類と灯油代の負担——セントラルヒーティングか個別暖房か、費用は誰が払うのか
- 除雪の担当——玄関前や駐車場の雪かきを誰がするのか。管理会社が行う物件かどうかは、体力面で大きな差になります
- 玄関までの動線——冬季に凍結しやすい階段や坂道がないか
- 水道の凍結対策——水抜きの仕組みと操作のしやすさ
とくに除雪を誰が担当するかは、契約前に確認しておきたい点です。家賃が安くても、冬の負担が重ければ暮らし続けられません。
断られにくくするための備え
北海道でも、備えの中身は変わりません。オーナーが最も気にするのは「万一のときにすぐ気づける仕組みがあるか」という一点です。冬季は外出が減り、異変に気づかれにくくなるぶん、安否確認の仕組みはより重視されます。
用意しておきたいのは、家賃保証会社の利用、緊急連絡先、そして見守りサービスです。原状回復や家賃損失に備える保険もあわせて示せると、話が前に進みやすくなります。補償の範囲や上限額は商品ごとに違うため、契約前に内容を確かめてください。
保証人が見つからないときの進め方は保証人がいない高齢者の賃貸|家賃保証会社の使い方と選び方、準備の全体像は高齢者が賃貸を断られる理由と対策|シニアが部屋を借りるための5つの準備で説明しています。ご家族が離れて暮らしている場合は高齢の親の住み替え|家族が知っておく賃貸の進め方もお読みください。
まとめ:北海道は「選択肢は増えている」「窓口は先に確保する」
北海道の数字が示すのは次の3点です。
- 空き家率15.6%。5年で2.1ポイント上昇と上がり幅は全国の約10倍、戸数でも約3倍の速さで増加——選択肢は増えている[1]
- 一戸建51.9%・共同住宅44.6%とほぼ全国平均どおり——住まいの形を選べる[2]
- 協議会は5か所のみ。市町村に窓口が無ければ道の協議会へ[3]
65歳以上の人口は全国で総人口の29.3%を占め、過去最高を更新しています[4]。高齢の借り手はもう例外ではありません。
物件そのものは増えています。足りないのは相談先の数です。だからこそ、道か市町村の窓口を先に確保してから探しはじめる——北海道ではこの順序が効きます。
- 空き家率の推移(北海道 13.5%→15.6%/全国 13.6%→13.8%。いずれも2018年・2023年):総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査』住宅数概数集計 表2「空き家率-全国、都道府県(2018年、2023年)」。stat.go.jp(速報PDF)
- 北海道の総住宅数2,889千戸・一戸建51.9%・共同住宅44.6%・持ち家57.0%、全国の一戸建52.7%・共同住宅44.9%・持ち家60.9%(いずれも2023年):総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査』基本集計 結果の概要 付表「都道府県別の主な指標」。stat.go.jp(確報PDF・付表)
- 北海道内の居住支援協議会(道+4市町の計5か所)と連絡先、全国192協議会(令和8年6月30日時点):国土交通省『住宅確保要配慮者居住支援協議会について』。mlit.go.jp
- 高齢化率29.3%(2024年10月1日現在):内閣府『令和7年版高齢社会白書』。cao.go.jp