保証人がいない高齢者の賃貸|家賃保証会社の使い方と選び方

「頼める連帯保証人がいないから、賃貸は借りられないのでは」——お子さんが遠方にいる、ご兄弟も高齢、配偶者を見送った…。そうした事情で保証人を立てられず、住まい探しをためらうシニアの方は少なくありません。ですが結論から言えば、連帯保証人が見つからなくても、家賃保証会社を使って賃貸を借りる道があります。国土交通省がまとめた資料でも、賃貸借契約の約97%で何らかの保証が求められ、約6割で家賃債務保証会社が使われていました(日本賃貸住宅管理協会の平成26年度の調査)[5]。この記事では、保証会社のしくみと費用の目安、審査のポイント、そして国の制度の活かし方まで、公的データにもとづいて整理します。

「保証人がいない」は珍しくない時代の背景

まず、保証人を用意しづらいのはあなただけの事情ではありません。総務省の人口推計(2024年10月1日現在)では、65歳以上人口が総人口の29.3%を占め過去最高となりました[1]。さらに国立社会保障・人口問題研究所の推計では、65歳以上の単独世帯(ひとり暮らし)は2050年に1,083.9万世帯へと増える見通しです[2]。ひとり暮らしのシニアが増えれば、「身近に保証人を頼める人がいない」という状況も自然と広がります。こうした社会の変化を受けて、貸す側・仲介する側も個人保証人に頼らないしくみへと移ってきました。一方で、賃貸用の空き家は全国で443.6万戸にのぼり、空き家率は13.8%と過去最高です[3]。空き部屋を長く空けたい大家はいませんから、保証の不安さえ解消できれば、シニアの住まい探しは十分に前へ進みます。

家賃保証会社のしくみと費用の目安

家賃保証会社とは、入居者に代わって「連帯保証人の役割」を引き受ける会社です。万一家賃の支払いが遅れたとき、保証会社がいったん大家へ立て替え(代位弁済)し、あとで入居者が保証会社へ支払う——という流れになります。これにより、個人の連帯保証人を立てなくても契約できるわけです。費用の目安は会社やプランによって幅があります。国土交通省がまとめた保証会社26社の調査では、初回の保証料は月額家賃の30%から100%まで分かれており、「初回に月額家賃の50%、以後1年ごとに1万円」という設定がいちばん多い形でした[5]。高齢者向けには、一般財団法人高齢者住宅財団の家賃債務保証のように「2年契約で月額家賃の35%を一括払い」という例も紹介されています[5]。金額や支払い方法は商品ごとに異なるため、契約前に「初回・更新・月額それぞれいくらか」を忘れずに確認しておきましょう。なお保証会社は家賃の支払いを保証するもので、原状回復費や孤独死などのリスクに備える保険とは別の仕組みです。オーナーの不安に幅広く応えるには、保証・保険・見守りを組み合わせて示すのが効果的です。備えの全体像は高齢者が賃貸を断られる理由と対策|シニアが部屋を借りるための5つの準備で詳しく解説しています。

審査で見られること・通りやすくする準備

保証会社の審査では、主に「家賃を継続して払えるか」が見られます。シニアの場合、年金や預貯金、就労収入などの支払い能力に加え、緊急連絡先を用意できるかどうかも安心材料になります。年齢そのものより、支払いの見通しと「万一のときに連絡がつく体制」が重視されると考えておくとよいでしょう。準備としては、①年金額や収入が分かる書類を整えておく、②お子さんや親族など緊急連絡先を1名お願いしておく、③見守りサービスの利用意向を示す、の3点が効きます。国土交通省も、賃貸人の中には孤独死や死亡時の残置物処理、家賃滞納等に懸念を持つ方が多いと説明しています[4]。見守りは、そのうち「ひとり暮らしで何かあったとき、すぐ気づけるか」という不安に応える材料として、大家さんとの話し合いで伝えられます。ただし審査基準は会社ごとに異なり、いつでも通るとは限りません。一社で難しければ別の保証会社を扱う窓口に相談するなど、選択肢を一つに絞らないことも大切です。

保証会社の扱いに慣れた窓口で、保証人を立てずに相談できる部屋を探す——年金や預貯金、緊急連絡先の状況を先に伝えたうえで相談できます。

国の制度も味方になる|登録制度とセーフティネット

保証会社を使う際は、国土交通省の「家賃債務保証業者登録制度」を知っておくと安心です。これは、一定の基準を満たす家賃債務保証業者を国が登録・公表する制度で、登録業者は業務の適正な実施が求められます。数ある保証会社のなかから選ぶとき、登録の有無は信頼性を見極める一つの目安になります[4]。さらに、高齢者を含む「住宅確保要配慮者」の入居を後押しする住宅セーフティネット制度も整備されており、要配慮者向けに登録された賃貸住宅や、家賃債務保証・居住サポートの仕組みが用意されています[4]。このうち保証については、住宅確保要配慮者が利用しやすい保証会社を国土交通大臣が認定する「認定家賃債務保証業者制度」があり、都道府県が指定する居住支援法人も、入居の相談や見守りとあわせて、登録住宅に入る人の家賃債務保証などを業務にしています[4]。一社の審査で難しかったときは、こうした認定を受けた保証会社や居住支援法人も相談先の候補になります。認定を受けた保証会社が満たす基準と、保証委託料の考え方は高齢者の賃貸の初期費用|敷金・礼金・保証委託料はいくらか、年金でどう用意するかで解説しています。2025年10月からは制度が拡充され、入居中の見守りや残置物への対応など、大家が受け入れやすくなる仕組みも強化されました。こうした公的な後押しがあることを知っておくと、「保証人がいないから無理」とあきらめずに済みます。地域ごとの探し方は横浜市・川崎市で高齢者が賃貸を探すには北海道(札幌)でシニアが賃貸を探すにはもあわせてご覧ください。

保証料を含めて毎月いくらまで無理なく払えるかを整理したい方は、年金暮らしの家賃の目安|手取りから逆算する住まいの選び方もあわせてご覧ください。

まとめ:保証人がいなくても、道はある

連帯保証人が見つからないことは、いまや珍しいことではありません。家賃保証会社を使えば個人の保証人は不要になり、費用の目安と審査の見どころを押さえて準備すれば、シニアの契約は十分に前へ進みます。国の登録制度で信頼できる保証会社を選び、セーフティネット制度も視野に入れ、緊急連絡先や見守りで大家の不安に応える——この組み合わせが、住まい探しを大きく後押しします。ひとりで抱え込まず、まずは高齢者対応と保証会社の扱いに慣れた窓口へ相談することから始めてみてください。焦らず備えを整えれば、納得できる住まいに近づけます。年金だけの収入で審査に通るのかは年金収入だけで家賃保証会社の審査は通る?で詳しく扱っています。

出典
  1. 高齢化率29.3%(2024年10月1日現在):総務省統計局『人口推計』。stat.go.jp
  2. 65歳以上の単独世帯 2050年1,083.9万世帯(2024年推計):国立社会保障・人口問題研究所『世帯数の将来推計(全国推計)』。ipss.go.jp
  3. 空き家率13.8%・賃貸用443.6万戸(2023年):総務省『令和5年住宅・土地統計調査』。stat.go.jp
  4. 家賃債務保証業者登録制度・住宅セーフティネット制度(2025年10月拡充)、認定家賃債務保証業者制度(住宅確保要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者として国土交通大臣が認定)、居住支援法人(都道府県が指定し、入居に係る情報提供・相談、見守りなどの生活支援、登録住宅の入居者への家賃債務保証等の業務を行う)、賃貸人の中には「孤独死や死亡時の残置物処理、家賃滞納等に対して懸念を持っている方が多くいます」とされていること:国土交通省『住宅セーフティネット制度』。mlit.go.jp
  5. 「賃貸借契約の約97%において、何らかの保証を求めており、約6割が家賃債務保証会社を利用」「近年、高齢単身世帯の増加や人間関係の希薄化等を背景として、家賃債務保証会社の利用が増加」とされていること(p.2・(公財)日本賃貸住宅管理協会 平成26年度「家賃債務保証会社の実態調査報告書」に基づく)、保証会社26社の初回保証料が月額賃料の30%〜100%に分布し、「契約時の保証料は、初回時月額賃料の50%、以後一年毎に1万円と設定している事業者が多い」こと、(一財)高齢者住宅財団の保証が「(2年契約)月額家賃の35%一括払い」と紹介されていること(いずれも(公財)日本賃貸住宅管理協会 平成28年6月「家賃債務保証会社へのアンケート調査」に基づく):国土交通省住宅局『家賃債務保証の現状』(平成28年10月、2026年9月12日閲覧)。mlit.go.jp

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