高齢者が賃貸を断られる理由と対策|シニアが部屋を借りるための5つの準備

「高齢だから」という理由で賃貸を断られた——そんな経験や不安を持つ方は少なくありません。実際、国の調査でも賃貸オーナーの多くが高齢者の入居に慎重であることが示されています。しかし、探し方と準備しだいで、シニアでも住まいは見つかります。この記事では、断られにくくするための5つの準備を、公的データとともに解説します。

まず知っておきたい「約7割」という数字

国土交通省の調査によると、賃貸オーナーの約7割が高齢者への賃貸に慎重とされています[1]。ただし、その主な理由は「居室内での事故などへの不安」であって、高齢者そのものを敬遠しているわけではありません。実際、慎重な理由を尋ねた調査では、居室内での死亡事故等への不安を挙げる大家が約9割にのぼります[1]。つまり、その不安に応える備えを示せれば、状況は大きく変わります。

しかも供給面では追い風もあります。総務省の調査では、2023年時点で賃貸用の空き家は443.6万戸にのぼります[2]。借りたい人と空いている部屋をつなぐ準備が整えば、選択肢は決して少なくありません。

断られないための5つの準備

1. 家賃保証会社を利用する

連帯保証人を立てられない場合でも、家賃保証会社を利用すれば滞納リスクへの不安に応えられます。多くの物件で保証会社の利用が前提になっており、シニアの入居でも標準的な選択肢です。会社ごとに審査基準や保証料は異なるため、比較のポイントは 保証人がいない高齢者の賃貸|家賃保証会社の使い方と選び方 で解説しています。

2. 緊急連絡先を用意する

親族や知人など、いざというときの緊急連絡先を用意しておくと、オーナーの安心感が高まります。連絡先の関係性と連絡手段を明確にしておきましょう。身近に頼れる親族がいない場合の進め方は 身寄りがない高齢者の賃貸|緊急連絡先がいないときの進め方 にまとめています。

3. 見守りサービスの利用を検討する

安否確認や見守りのサービスを併用すると、「何かあってもすぐ気づける」状態をつくれます。オーナーが気にする点への直接的な備えになります(例:R65見守り)。

4. 保険(孤独死保険など)を確認する

原状回復費用や家賃損失に備える保険があると、万一の金銭的な不安に応えられます。補償の範囲や上限額は商品によって異なるため、内容を確認しておきましょう。

5. 高齢者を歓迎する窓口を選ぶ

はじめから高齢者の受け入れに前向きな不動産会社・大家を選ぶのが近道です。年齢で門前払いされにくい窓口を使えば、交渉の負担は大きく下がります。一般の検索や店舗をまわる前に、高齢者対応をうたう窓口に相談すると、無駄足を減らせます。

断られても、あきらめないために

もし一度断られても、それは「この物件・この大家には合わなかった」だけのことが多く、あなた自身が否定されたわけではありません。断られた理由を可能な範囲で聞き、次の物件では、その不安に対応する備え(家賃保証や見守りなど)を先に伝えるようにしましょう。条件を少し広げる、エリアを見直す、相談窓口を変える——この3つを試すだけでも、見つかる確率は上がります。

また、住まいの確保を社会全体で後押しする制度も整いつつあります。2025年10月には改正住宅セーフティネット法が施行され、単身高齢者などが安心して住まいを探せるよう、支援の枠組みが強化されました[3]。この改正で新設されたのが、居住支援法人が大家と連携して安否確認や見守りを行う住宅を国が認定する「居住サポート住宅」という制度です[4]。住宅確保要配慮者の入居を拒まない登録住宅(セーフティネット住宅)も全国のシステムで検索できます[5]。こうした制度や、それを活用する窓口を知っておくことも、心強い助けになります。

エリア別のポイントは 愛知県(名古屋)でシニアが賃貸を借りるには?東京23区・多摩地域で高齢者が賃貸を借りるには もあわせてご覧ください。

賃貸以外の選択肢と迷っている方は シニア向け賃貸とサ高住・有料老人ホームの違い|住まいの選び方 で、根拠となる法律と契約の形から三つの住まいを整理しています。

探す前に予算を固めておきたい方は 年金暮らしの家賃の目安|手取りから逆算する住まいの選び方 をご覧ください。

「居住サポート住宅」がどんな住まいか詳しく知りたい方は 居住サポート住宅とは?入居する側から見た支援内容とサ高住・登録住宅との違い をご覧ください。

準備は「不安の先回り」

5つの準備に共通するのは、オーナーが抱く漠然とした不安を、具体的な備えに置き換えることです。家賃保証・緊急連絡先・見守り・保険・受け入れ窓口——このセットを示せれば、「高齢だから」という理由は「これなら安心」に変わっていきます。あきらめる前に、まずは準備から始めてみてください。

出典
  1. 賃貸オーナーの約7割が高齢者入居に慎重(要配慮者に対する大家の入居拒否感:高齢者 約7割/高齢者の入居拒否の理由は、居室内での死亡事故等への不安が約9割):国土交通省『住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律 概要資料』。mlit.go.jp(PDF)
  2. 賃貸用の空き家443.6万戸(2023年):総務省『令和5年住宅・土地統計調査』。stat.go.jp
  3. 改正住宅セーフティネット法 2025年10月施行:政府広報オンライン。gov-online.go.jp
  4. 居住サポート住宅の認定制度が「日常の安否確認」「訪問等による見守り」「生活・心身の状況が不安定化したときの福祉サービスへのつなぎ」を行う住宅を対象とすること、居住支援法人の位置づけ:国土交通省「住宅セーフティネット制度 ~誰もが安心して暮らせる社会を目指して~」(2026年9月7日閲覧)。mlit.go.jp
  5. 住宅確保要配慮者の入居を拒まない登録住宅(セーフティネット住宅)を全国から検索できるシステムがあること:国土交通省「セーフティネット住宅 情報提供システム」。safetynet-jutaku.mlit.go.jp

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