居住サポート住宅とは?入居する側から見た支援内容とサ高住・登録住宅との違い

高齢の親の部屋を探していると、自治体の窓口や不動産会社から「居住サポート住宅という制度がある」と言われることがあります。2025年(令和7年)10月に始まったばかりの新しいしくみで、まだ情報が少なく、名前だけ聞いてもピンと来ないと思います。この記事は、事業者側の認定手続きではなく「入居する側から見て何が付いてくるのか」に絞って整理します。

居住サポート住宅とは何か

居住サポート住宅は、令和7年10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法で新しく設けられた住宅です[1]。国土交通省の説明では、「居住支援法人等が大家と連携し、[1]日常の安否確認、[2]訪問等による見守り、[3]生活・心身の状況が不安定化したときの福祉サービスへのつなぎを行う住宅」とされています[1]

ポイントは、建物の性能ではなく「入居したあとの支援」が制度の中心にあることです。市区町村などが住宅ごとに計画を認定するしくみで、認定を受けた住宅は国のシステムに掲載されます[4]

同じ改正では、入居者が亡くなったときの残置物処理を円滑にするため、令和7年10月1日から居住支援法人の業務に「入居者からの委託に基づく残置物処理」が追加されました[1]。大家さんが高齢の入居を断る理由としてよく挙がる「亡くなったあとの片づけ」に、制度側から手が入ったことになります。

誰が入居できるのか(対象になる人)

入居の対象は「住宅確保要配慮者」です。住宅セーフティネット法では「低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯」と定められ、省令で外国人等が加えられているほか、地方公共団体が計画を定めることで対象を追加できます[1]高齢であること自体が対象に含まれているのが、一般の賃貸との大きな違いです。

ただし、住宅の中はさらに二つに分かれます。国と自治体向けの通知では、「専用賃貸住宅は、入居者の資格を要援助者及びその配偶者等に限るものであり、一の計画につき、最低1戸以上の専用賃貸住宅を設けなければならない」とされ、専用賃貸住宅以外の住戸は「一般の入居者が入居することも差し支えない」とされています[3]。つまり、同じ建物に支援を受ける人とそうでない人が混在することが前提のしくみです。

三つの支援を受けるかどうかも自動では決まりません。通知では「要援助者として3つのサポートを受けるかについては、入居希望者の心身の状況や希望等を踏まえ、基本的には認定事業者から提案し、入居希望者との合意により判断される」とされています[3]。相談のときに「支援を受ける形にするかどうか」を確認しておくとよいでしょう。

どんな支援が受けられるのか(安否確認・見守り・福祉へのつなぎ)

認定の基準には、支援の内容と頻度がはっきり書かれています。国土交通省のリーフレットでは、要援助者に対して「①1日1回以上の安否確認 ②月1回以上の見守り ③福祉サービスへのつなぎを行うこと」が基準として挙げられています[2]

頻度が数字で決まっているのが、この制度のいちばんの特徴です。「見守りがあります」という言葉だけの説明と違い、最低ラインが定められています。

方法についても定めがあります。通知では安否確認・見守りは「対面を原則とするが一定の場合にはビデオ通話等のオンラインによる実施も可能」とされ、あわせて「入居者の意向やプライバシーに十分配慮したものとなるよう留意されたい」と書かれています[3]。毎日見張られるようなしくみではありません。

なお、支援を受けない入居者もいます。リーフレットには「要配慮者以外の入居者に対しては、安否確認・見守り・福祉サービスへのつなぎの提供は必須ではありません」と明記されています[2]

家賃や敷金は普通の賃貸と違うのか

「支援が付くぶん高いのでは」と心配される方が多い部分です。制度上は、家賃の額は「近傍同種の賃貸住宅の家賃の額と均衡を失しないよう定める」とされています[3]。同じ地域の似た条件の部屋と、かけ離れた家賃にはできないという意味です。

敷金と共益費についても、通知は「敷金の額もこれと同様に定めることが望ましいこと、共益費等の額については役務の提供に要する費用等に照らして不当に高いものとならないよう定めることが望ましい」としています[3]

支援そのものの費用は別に発生することがあります。ここにも歯止めがあり、「居住サポートの対価が不当に高額でないこと」が認定基準に入っています[2]ただし「無料」という意味ではありません。見学や相談の段階で、家賃・共益費・サポートの対価をそれぞれ分けて聞いておいてください。

建物側の基準は、既存住宅の場合床面積18㎡以上・耐震性を有すること・台所、便所、浴室等を設置していることなどです[2]。年金収入から家賃の上限を逆算する手順は年金暮らしの家賃の目安|手取りから逆算する住まいの選び方にまとめています。

保証人や家賃保証会社はどうなるのか

高齢の入居でいちばん詰まりやすいのが保証の話ですが、ここに制度上の後押しがあります。国土交通省のリーフレットには、「認定家賃債務保証業者に認定された家賃債務保証業者は、居住サポート住宅に入居する要配慮者の家賃債務保証を原則断りません」と書かれています[2]

生活保護を受けている場合も扱いが変わります。「居住サポート住宅に生活保護受給者が入居する場合、原則として自治体から家主や管理会社等に住居扶助費(家賃)や、生活扶助費(共益費)が代理納付されます」とされています[2]。家賃が自治体から直接支払われるため、大家さん側の滞納の不安が下がります。住宅扶助の上限や審査の実際は生活保護で高齢者が賃貸を借りるには|住宅扶助の上限と入居審査の実際で詳しく扱っています。

一般の賃貸で保証会社を使う場合のしくみと費用は保証人がいない高齢者の賃貸|家賃保証会社の使い方と選び方を、審査で見られる点は年金収入だけで家賃保証会社の審査は通る?見られる点と落ちたときの選択肢をご覧ください。

セーフティネット住宅(登録住宅)とどう違うのか

名前が似ていて混同しやすいのが「セーフティネット住宅(登録住宅)」です。こちらは同じ住宅セーフティネット法にもとづき、規模や構造等について一定の基準を満たした住宅として登録されたもので、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅です[5]

違いは支援の有無です。登録住宅は「入居を断らない」ところまでが制度の内容で、入居後の安否確認や見守りは制度上の要件ではありません。居住サポート住宅は、そこに頻度の決まった支援が加わった形です[1][2]

数の差も大きく、性格の違いをよく表しています。

  • セーフティネット住宅(登録住宅)——総登録件数129,610件・総登録戸数974,145戸[5]
  • 居住サポート住宅——総認定戸数353戸[4]

いずれも2026年8月31日に各システムを閲覧した時点の掲載値です。居住サポート住宅は制度が始まって1年に満たず、戸数はまだごくわずかです。「近くにあれば有力な選択肢」であって、これだけを探して待つ性質のものではありません。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とどう違うのか

もうひとつ紛らわしいのがサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)です。サ高住は高齢者の居住の安定確保に関する法律にもとづく登録制度で、「住宅としての居室の広さや設備、バリアフリーといったハード面の条件を備えるとともに、ケアの専門家による安否確認や生活相談サービスを提供すること」が求められます[6]

整理すると、次のようになります。

  • サ高住——高齢者に対象を限り、バリアフリー等のハード基準とケアの専門家によるサービスがセットになった住宅[6]
  • 居住サポート住宅——高齢者に限らず住宅確保要配慮者が対象。ハードは既存住宅なら18㎡以上・耐震性等で、支援は安否確認・見守り・福祉サービスへのつなぎ[1][2]

専門的な介護サービスを前提にするならサ高住、いまの暮らしを続けながら見守りだけ確保したいなら居住サポート住宅、という見分け方が実際的です。サ高住・有料老人ホームまで含めた比較はシニア向け賃貸とサ高住・有料老人ホームの違い|住まいの選び方にまとめています。

同じ2025年10月の改正では、更新が無く亡くなったときに終了する契約のしくみも見直されており、その内容は終身建物賃貸借とは?亡くなるまで住み続けられる賃貸契約の条件・解約・探し方で解説しています。

居住サポート住宅はどこで探せばよいのか

探し口は国土交通省の「居住サポート住宅 情報提供システム」です[4]。都道府県をクリックして地域ごとに認定された住宅を見ることができます。

注意したいのは、このシステムが空室情報のサイトではないことです。トップに「このサイトは、各住宅の入居状況等の詳細は掲載していません。詳細は各住宅の『入居に関する問合せ先』にお問合せください」と明記されています[4]。掲載されていても、いま空いているとは限りません。

現実的には、次の順で当たるのが早いと思います。

  • 情報提供システムで、住みたい地域に認定住宅があるか見る[4]
  • あれば「入居に関する問合せ先」に直接連絡する[4]
  • 無ければ、セーフティネット住宅(登録住宅)と一般の賃貸を並行して探す[5]
  • 市区町村の住宅担当課や居住支援法人にも同時に相談する

身寄りがなく緊急連絡先の欄が埋まらない場合の進め方は身寄りがない高齢者の賃貸|緊急連絡先がいないときの進め方で扱っています。

まとめ:使えれば強いが、まだ数は少ない

押さえておきたいのは次の3点です。

  • 支援の頻度が制度で決まっている——1日1回以上の安否確認、月1回以上の見守り、福祉サービスへのつなぎ[2]
  • 保証と家賃の受け取りにも後押しがある——認定家賃債務保証業者は原則断らず、生活保護受給者には代理納付が原則[2]
  • 戸数はまだ353戸(2026年8月31日閲覧時点)[4]——これだけを待つのではなく、登録住宅や一般の賃貸と並行して探す

65歳以上人口は令和6年10月1日現在で3,624万人、高齢化率は29.3%です[7]。制度はこの規模の変化に追いつこうとしている途中で、居住サポート住宅はその途上で加わったしくみのひとつです。近くに見つかれば有力な選択肢ですが、見つからないことのほうがまだ多い——そう構えて、複数の道を同時に動かしておくと、1つが空振りでも止まりません。居住サポート住宅以外の選択肢もあわせて探すことで、地域に無くても動きを止めずに済みます。

民間の身元保証サービスを検討する場合の確認事項は、高齢の親の賃貸に身元保証会社は必要?家賃保証との違いと契約前に確かめることにまとめています。

出典
  1. 改正住宅セーフティネット法の施行日(令和7年10月1日)/居住サポート住宅の定義(居住支援法人等が大家と連携し、[1]日常の安否確認、[2]訪問等による見守り、[3]生活・心身の状況が不安定化したときの福祉サービスへのつなぎを行う住宅)/住宅確保要配慮者の範囲(低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯、省令で外国人等、地方公共団体による追加)/令和7年10月1日から居住支援法人の業務に「入居者からの委託に基づく残置物処理」が追加されたこと:国土交通省「住宅セーフティネット制度 ~誰もが安心して暮らせる社会を目指して~」。mlit.go.jp
  2. 居住サポート住宅の認定基準(床面積18㎡以上〈既存住宅の場合〉/耐震性を有すること/台所、便所、浴室等を設置していること/専用住宅を1戸以上設けること/家賃が近傍同種の賃貸住宅と均衡を失しないこと/要援助者に対して①1日1回以上の安否確認②月1回以上の見守り③福祉サービスへのつなぎを行うこと/居住サポートの対価が不当に高額でないこと)/要配慮者以外の入居者にはサポートの提供が必須でないこと/認定家賃債務保証業者は家賃債務保証を原則断らないこと/生活保護受給者への住居扶助費・生活扶助費(共益費)の代理納付:国土交通省「居住サポート住宅」リーフレット。mlit.go.jp(PDF)
  3. 専用賃貸住宅の入居者資格が要援助者及びその配偶者等に限られること・最低1戸以上/専用賃貸住宅以外には一般の入居者も入居できること/3つのサポートを受けるかは認定事業者からの提案と入居希望者との合意により判断されること/安否確認・見守りは対面を原則とし一定の場合はビデオ通話等のオンラインも可能で、入居者の意向やプライバシーへの配慮が求められること/家賃は近傍同種の賃貸住宅と均衡を失しないよう定めること・敷金も同様が望ましく共益費等は不当に高いものとならないよう定めることが望ましいこと:国土交通省・厚生労働省「別紙4 居住サポート住宅について」(改正住宅セーフティネット法等の施行に関する通知の別紙)。mlit.go.jp(PDF)
  4. 居住サポート住宅の総認定戸数353戸/都道府県から探せること/「このサイトは、各住宅の入居状況等の詳細は掲載していません。詳細は各住宅の『入居に関する問合せ先』にお問合せください」との案内(いずれも2026年8月31日閲覧時点):国土交通省「居住サポート住宅 情報提供システム」。support-jutaku.mlit.go.jp
  5. セーフティネット住宅(登録住宅)が住宅セーフティネット法にもとづき規模や構造等について一定の基準を満たした住宅であること/総登録件数129,610件・総登録戸数974,145戸(2026年8月31日閲覧時点):国土交通省「セーフティネット住宅 情報提供システム」。safetynet-jutaku.mlit.go.jp
  6. サービス付き高齢者向け住宅の根拠法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)と登録制度の内容(住宅としての居室の広さや設備、バリアフリーといったハード面の条件を備えるとともに、ケアの専門家による安否確認や生活相談サービスを提供すること):国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅 情報提供システム」制度の解説。satsuki-jutaku.mlit.go.jp
  7. 令和6年10月1日現在の65歳以上人口3,624万人・高齢化率29.3%:内閣府『令和7年版高齢社会白書』第1章第1節。cao.go.jp

居住サポート住宅が近くに無くても、探し方はあります

登録住宅や一般の賃貸も含めて、高齢者の入居に前向きな窓口におつなぎします。まずはお気軽にご相談ください。