「東京は物件が多いのに、高齢だと断られるのでは」——多くの方が感じている不安です。ただ東京の場合、都全体を漠然と探すより、相談窓口がある区・市から絞り込むほうが早いという強みがあります。23区のうち22区、多摩地域の15市に居住支援協議会の窓口があるからです。この記事では全国平均ではなく、東京都のデータと東京都にある窓口だけを見ていきます。
東京は「借りて住む」のが当たり前の場所——持ち家44.7%
東京都の持ち家の割合は44.7%です[2]。全国平均は60.9%ですから、東京では半数以上の世帯が借りて暮らしていることになります。
住宅に占める共同住宅(アパート・マンション)の割合は71.6%で全国1位。次いで沖縄県60.9%、大阪府57.4%と続きます[2]。全国平均44.9%と比べると、東京の突出ぶりがわかります。一戸建はわずか26.3%です[2]。
この数字の意味は大きいと考えています。賃貸で暮らすことがまったく特別ではないため、貸す側も年齢だけで判断するより、支払い能力や保証の中身を見て決める習慣がある。「借りる人」が多数派の場所では、借り手の側も相談しやすいのです。
空き家率10.9%——全国より低いが、増えている
東京都の空き家率は2023年で10.9%。全国の13.8%より低い水準です[2]。ただし2018年の10.6%からは上がっています(速報値ベースで10.6%→11.0%)[1]。
総住宅数は8,201千戸で全国1位、空き家は897千戸あります[2]。率は低くても、実数は圧倒的に多いのが東京の特徴です。率だけを見て「東京は空きがなくて厳しい」と判断すると、実態を見誤ります。90万戸近い空き家がある場所で、条件に合う1戸を探すという話だからです。
相談窓口が38——全国192のうち5分の1が東京に
ここが東京の最大の強みです。国土交通省がまとめた居住支援協議会の一覧(令和8年6月30日時点)によると、全国192協議会のうち東京都内に38があります[3]。全国のおよそ5分の1が東京に集中している計算です。
都全体の窓口は東京都住宅政策本部民間住宅部安心居住推進課(03-5320-4919)[3]。加えて、次のように区市それぞれに窓口があります[3]。
- 23区のうち22区に協議会(千代田・港・新宿・文京・台東・墨田・江東・品川・目黒・大田・世田谷・渋谷・中野・杉並・豊島・北・荒川・板橋・練馬・足立・葛飾・江戸川)
- 多摩地域の15市にも協議会(八王子・立川・武蔵野・三鷹・青梅・府中・調布・町田・小金井・小平・日野・狛江・多摩・西東京・あきる野)
窓口の担当部署にも注目してください。多くは住宅課ですが、千代田区は保健福祉部生活支援課、文京区は福祉部福祉政策課、目黒区は健康福祉部福祉総合課が担当しています[3]。住まいの相談を「暮らしの相談」として受ける入口があるということです。
さらに豊島区は「としまNPO推進協議会」が窓口です[3]。行政の窓口は気が重いという方でも入りやすいでしょう。
エリアで選ぶ東京——都心/城東・城北/城南・城西/多摩
東京は地域によって家賃も雰囲気も大きく変わります。窓口の分布と重ねると次のように整理できます。
都心(千代田・港・文京など)は医療機関が集まり通院に便利ですが、家賃は最も高くなります。ただし千代田区・文京区とも福祉部署が窓口なので、相談は入りやすい地域です。
城東・城北(足立・葛飾・江戸川・北・板橋など)は都内では家賃が落ち着いており、いずれも区の窓口があります。下町の住宅地で、生活に必要な店が身近にそろいます。
城南・城西(大田・世田谷・杉並・練馬など)は住宅地としての厚みがあり、区の窓口も整っています。
多摩地域(八王子・町田・立川・府中など15市)は家賃が23区よりはっきり低く、それでいて窓口が15市に及びます。予算を抑えつつ相談先も確保したい方には有力な選択肢です。
隣接県まで広げると条件の幅がさらに出ます。横浜市・川崎市で高齢者が賃貸を探すには、埼玉県でシニアが賃貸を探すコツ、千葉県で高齢者が賃貸を借りるにはもあわせてご覧ください。
断られにくくするための備え
東京でも、備えの中身は変わりません。オーナーが最も気にするのは「万一のときにすぐ気づける仕組みがあるか」という一点です。
用意しておきたいのは、家賃保証会社の利用、緊急連絡先、そして見守りサービスです。安否確認の仕組みと、原状回復や家賃損失に備える保険をあわせて示せると、話が前に進みやすくなります。補償の範囲や上限額は商品ごとに違うため、契約前に内容を確かめてください。
保証人が見つからないときの進め方は保証人がいない高齢者の賃貸|家賃保証会社の使い方と選び方、準備の全体像は高齢者が賃貸を断られる理由と対策|シニアが部屋を借りるための5つの準備で説明しています。
東京の場合、物件を探す前に住んでいる区・市の協議会に電話しておくことを強くおすすめします。22区15市に窓口があるので、ほとんどの方が対象になります。地域の事情を把握したうえで不動産会社に行けるかどうかで、話の通りが変わります。
まとめ:東京は「借り手が多数派」「窓口が全国の5分の1」
東京都の数字が示すのは次の3点です。
- 持ち家44.7%・共同住宅71.6%(全国1位)——借りて住むのが多数派[2]
- 空き家率10.9%は全国より低いが、実数は897千戸で全国最多[2]
- 協議会38は全国192のおよそ5分の1。22区15市に窓口がある[3]
65歳以上の人口は全国で総人口の29.3%を占め、過去最高を更新しています[4]。高齢の借り手はもう例外ではありません。
物件の実数が多く、相談先の選択肢も広い。東京は情報量が多いぶん迷いやすいだけで、条件そのものは整っています。まず区市の窓口に一本電話することから始めてみてください。
- 空き家率の推移(東京都 10.6%→11.0%/全国 13.6%→13.8%。いずれも2018年・2023年):総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査』住宅数概数集計 表2「空き家率-全国、都道府県(2018年、2023年)」。stat.go.jp(速報PDF)
- 東京都の総住宅数8,201千戸・一戸建26.3%・共同住宅71.6%・持ち家44.7%、全国の一戸建52.7%・共同住宅44.9%・持ち家60.9%(いずれも2023年):総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査』基本集計 結果の概要 付表「都道府県別の主な指標」。stat.go.jp(確報PDF・付表)
- 東京都内の居住支援協議会(都+37区市の計38か所)と連絡先、全国192協議会(令和8年6月30日時点):国土交通省『住宅確保要配慮者居住支援協議会について』。mlit.go.jp
- 高齢化率29.3%(2024年10月1日現在):内閣府『令和7年版高齢社会白書』。cao.go.jp