「神奈川なら物件も多いし、東京より探しやすいのでは」——そう考える方は多いと思います。なかでも横浜市・川崎市は、県内で最も供給量が多く、どちらにも居住支援協議会の窓口があります。この記事では全国平均ではなく、神奈川県のデータと神奈川県にある窓口だけを見ていきます。
神奈川は全国で最も空きが「減った」県のひとつ
神奈川県の空き家率は2023年で9.8%。全国の13.8%を大きく下回ります[1]。しかもこれは、2018年の10.8%から1ポイント下がった結果です[1]。
同じ5年間で、全国は13.6%から13.8%へ上がっています[1]。全国が空き家を増やすなかで、神奈川は逆に減らしたことになります。
探す側にとって、これは重要な意味を持ちます。「空き家が増えているから、そのうち条件のいい部屋が出てくる」という全国向けの説明は、神奈川ではまったく当てはまりません。むしろ5年前より部屋の余裕は減っています。
結論から言えば、神奈川は「空きを待つ」戦略が効きにくい県のひとつです。全国で空き家率が下がった10県のうちの1つで、下がり幅も上位に入ります[1]。空きを待つのではなく、相談先を先に押さえて動く。この順序を変えるだけで結果が変わります。
それでも供給は厚い——共同住宅57.0%・総住宅数4,765千戸
率が低いからといって、部屋が無いわけではありません。神奈川県の総住宅数は4,765千戸で、空き家は467千戸あります[2]。実数としては46万戸を超えます。
住宅に占める共同住宅の割合は57.0%、一戸建は40.7%[2]。全国平均(共同住宅44.9%)よりはっきり集合住宅寄りで、賃貸の供給そのものは厚い県です。持ち家率は58.7%で全国の60.9%にやや届きません[2]。
つまり神奈川は「部屋はあるが、空いている時間が短い」県だといえます。良い物件ほど早く決まる。そのぶん、探しはじめる前の準備が結果を左右します。
県の窓口が広域を支えている——協議会9か所
国土交通省がまとめた居住支援協議会の一覧(令和8年6月30日時点・全国192協議会)によると、神奈川県内には県の協議会に加えて8つの市協議会があります[3]。
県全体の窓口は公益社団法人 かながわ住まいまちづくり協会(045-664-6896)です[3]。行政の部署ではなく、住まいの専門団体が担当しているのが特徴です。
市の窓口は次のとおりです[3]。
- 横浜市(建築局住宅部住宅政策課)
- 川崎市(川崎市住宅供給公社)
- 相模原市(都市建設局まちづくり計画部建築住まい政策課)
- 藤沢市(住宅政策課)/茅ヶ崎市(都市部都市政策課)
- 厚木市(まちづくり計画部住宅課)
- 座間市(福祉部生活援護課)
- 鎌倉市(かながわ住まいまちづくり協会)
注目したいのは鎌倉市です。市独自の窓口ではなく、県と同じ「かながわ住まいまちづくり協会」が受け皿になっています[3]。市単独で抱え込まず、県の専門団体が広域で支える形です。窓口の無い市にお住まいでも、県の協議会に相談できるということでもあります。
また座間市は福祉部の生活援護課が担当です[3]。暮らしの相談から入れる入口があります。
エリアで選ぶ神奈川——横浜・川崎/湘南/県央/県西
神奈川は地域ごとに家賃も交通も変わります。窓口の分布と重ねると次のように整理できます。
横浜・川崎はJR・京急・東急・相鉄が集まり、医療機関も充実しています。両市とも窓口があり、供給量は県内で最大です。家賃は県内で高めになります。
湘南(藤沢・茅ヶ崎・鎌倉)は東海道線と小田急江ノ島線が通り、落ち着いた住環境です。3市とも窓口があり、鎌倉市は県の協会が対応します。
県央(相模原・厚木・座間)は小田急線・JR相模線沿いで、家賃が横浜市内よりはっきり抑えられます。3市とも窓口があり、予算を抑えつつ相談先も確保したい方に向く地域です。
県西(小田原方面)は市の協議会がありませんが、県の協議会が相談を受けます。
都心への通勤圏を広く見たい方は、東京23区・多摩地域で高齢者が賃貸を借りるにはもあわせてご覧ください。
断られにくくするための備え
神奈川でも、備えの中身は変わりません。オーナーが最も気にするのは「万一のときにすぐ気づける仕組みがあるか」という一点です。
用意しておきたいのは、家賃保証会社の利用、緊急連絡先、そして見守りサービスです。安否確認の仕組みと、原状回復や家賃損失に備える保険をあわせて示せると、話が前に進みやすくなります。補償の範囲や上限額は商品ごとに違うため、契約前に内容を確かめてください。
保証人が見つからないときの進め方は保証人がいない高齢者の賃貸|家賃保証会社の使い方と選び方、準備の全体像は高齢者が賃貸を断られる理由と対策|シニアが部屋を借りるための5つの準備で説明しています。
神奈川では、部屋を見つけてから備えを整えるのでは間に合わないことがあります。空きが短時間で埋まる県だからです。保証会社の目星と緊急連絡先を先に決めてから物件探しに入る——この順序をおすすめします。
まとめ:神奈川は「待たない」「先に窓口を押さえる」
神奈川県の数字が示すのは次の3点です。
- 空き家率9.8%。全国が上昇するなかで10.8%から低下——空き家率が下がった10県のひとつで、待つ戦略は効きにくい[1]
- それでも空き家は467千戸、共同住宅57.0%と供給そのものは厚い[2]
- 県+8市に窓口。鎌倉市は県の専門団体が受け皿で、窓口の無い市も県に相談できる[3]
65歳以上の人口は全国で総人口の29.3%を占め、過去最高を更新しています[4]。高齢の借り手はもう例外ではありません。
神奈川で大切なのは、順序です。備えを整え、窓口に相談してから探しはじめる。それだけで、決まるまでの時間がはっきり変わります。
- 空き家率の推移(神奈川県 10.8%→9.8%/全国 13.6%→13.8%。いずれも2018年・2023年):総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査』住宅数概数集計 表2「空き家率-全国、都道府県(2018年、2023年)」。stat.go.jp(速報PDF)
- 神奈川県の総住宅数4,765千戸・一戸建40.7%・共同住宅57.0%・持ち家58.7%、全国の一戸建52.7%・共同住宅44.9%・持ち家60.9%(いずれも2023年):総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査』基本集計 結果の概要 付表「都道府県別の主な指標」。stat.go.jp(確報PDF・付表)
- 神奈川県内の居住支援協議会(県+8市の計9か所)と連絡先、全国192協議会(令和8年6月30日時点):国土交通省『住宅確保要配慮者居住支援協議会について』。mlit.go.jp
- 高齢化率29.3%(2024年10月1日現在):内閣府『令和7年版高齢社会白書』。cao.go.jp