「福岡は住みやすいと聞くけれど、高齢だと部屋を借りにくいのでは」——そんな不安をお持ちの方へ。福岡県には、他の都府県にはない特徴がいくつもあります。この記事では全国平均の話ではなく、福岡県の数字と、福岡県にある窓口だけを手がかりに整理します。
福岡は「借りて住む」人が多い県——持ち家52.7%
福岡県の持ち家の割合は52.7%です[2]。全国平均は60.9%ですから、8ポイント以上低いことになります。裏を返せば、借りて住んでいる人の割合が全国よりはっきり高いということです。
住宅に占める共同住宅(アパート・マンション)の割合も54.8%で、全国の44.9%を大きく上回ります[2]。一戸建は42.8%にとどまります[2]。
この数字が意味するのは、賃貸で暮らすことが特別ではない土地柄だということです。貸す側も借り手を探すことに慣れており、賃貸市場そのものが厚い。年齢を理由に一律で断るより、条件を見て判断する事業者に出会いやすい環境だといえます。
空き家率は2023年で12.4%——5年前からは下がっている
福岡県の空き家率は2023年で12.4%[2]。2018年の12.7%から下がっています(速報値ベースで12.7%→12.3%)[1]。全国が13.6%から13.8%へ上がっているのとは逆の動きです。
水準としても全国13.8%より低く、総住宅数2,703千戸に対して空き家は335千戸[2]。「空き家が増えているから借りやすい」という全国向けの説明は、福岡ではそのまま当てはまりません。
ただ、これは悲観する話ではありません。空き家が減っているのは、それだけ部屋が実際に使われている=賃貸が回っているということでもあるからです。待つのではなく、動いて探す。福岡ではこの姿勢が実情に合っています。
市だけでなく「町」や「広域」に窓口がある——福岡の相談体制
国土交通省がまとめた居住支援協議会の一覧(令和8年6月30日時点・全国192協議会)によると、福岡県内には県の協議会に加えて10の協議会があります[3]。県全体の窓口は一般財団法人 福岡県建築住宅センター(092-781-5169)です[3]。
注目したいのは、その顔ぶれです[3]。
- 福岡市(住宅都市局住宅部住宅計画課)
- 北九州市(建築都市局住宅部住宅計画課)
- 久留米市(一般社団法人 くるめ住まいサポート)
- 大牟田市(都市整備部建築住宅課)
- 中間市(NPO法人抱樸 市民相談センター)
- うきは市(保健課)/豊前市(市民福祉部福祉課)
- 遠賀町(都市計画課)
- 直鞍地区・糟屋中部3町(複数自治体による広域の協議会)
政令市が2つあることに加えて、町単位(遠賀町)や、複数の自治体がまとまった広域の協議会(直鞍地区・糟屋中部3町)まであるのが福岡の特徴です。人口の少ない自治体でも単独で抱え込まず、地域でまとまって窓口をつくっている。都市部から離れた地域で探す方にとって、これは心強い体制です。
また、久留米市は一般社団法人、中間市はNPO法人が運営しています。行政の窓口より相談しやすいと感じる方もいるでしょう。
エリアで選ぶ福岡——福岡市/北九州/筑後/筑豊
福岡県は地域ごとに性格がはっきり分かれます。窓口の分布と重ねると次のようになります。
福岡市は地下鉄と西鉄・JRが集まり、医療機関も充実しています。賃貸の供給が最も厚い一方、家賃は県内で最も高くなります。
北九州(北九州市・中間市・遠賀町)はJR鹿児島本線沿いで、家賃は福岡市より落ち着いています。3つの自治体に窓口があり、相談先の密度が高い地域です。
筑後(久留米市・大牟田市・うきは市)は西鉄天神大牟田線とJRが通り、福岡市への通勤圏でありながら家賃が抑えられます。3市とも窓口があります。
筑豊(直鞍地区など)は広域の協議会が受け皿になっています。単独の市町村では窓口がなくても、地域として相談できる先があります。
1つの市に絞らず、窓口のある自治体を2〜3つ並行して当たると、1か所で止まらずに進められます。九州・中国地方を広く見たい方は広島県でシニアが賃貸を探すコツもご覧ください。持ち家中心で貸家の母数がそもそも薄い県での考え方は、新潟県で高齢者が賃貸を借りるには|持ち家率全国4位の県で、貸家をどう探すかが参考になります。
断られにくくするための備え
福岡でも、備えの中身は他の地域と変わりません。オーナーが最も気にするのは「万一のときにすぐ気づける仕組みがあるか」という一点です。
用意しておきたいのは、家賃保証会社の利用、緊急連絡先、そして見守りサービスです。安否確認の仕組みと、原状回復や家賃損失に備える保険をあわせて示せると、話が前に進みやすくなります。補償の範囲や上限額は商品ごとに違うため、契約前に内容を確かめてください。
保証人が見つからないときの進め方は保証人がいない高齢者の賃貸|家賃保証会社の使い方と選び方、準備の全体像は高齢者が賃貸を断られる理由と対策|シニアが部屋を借りるための5つの準備で説明しています。
福岡では、NPOや一般社団法人が窓口の自治体もあります。行政の相談は気が重いという方でも入りやすいので、まずは電話で状況を話してみるところから始められます。
まとめ:福岡は「賃貸が主流」「町や広域にも窓口がある」
福岡県の数字が示すのは次の3点です。
- 持ち家52.7%・共同住宅54.8%——借りて住むことが普通の県[2]
- 空き家率は2023年で12.4%[2]。速報値では12.7→12.3%と低下しており、待つ戦略は効きにくい[1]
- 県+10の協議会があり、町単位や広域の協議会まである[3]
65歳以上の人口は全国で総人口の29.3%を占め、過去最高を更新しています[4]。高齢の借り手はもう例外ではありません。
賃貸市場が厚く、相談先が地域のすみずみにある——福岡はシニアが住まいを探すうえで、条件の整った県だといえます。
- 空き家率の推移(福岡県 12.7%→12.3%/全国 13.6%→13.8%。いずれも2018年・2023年):総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査』住宅数概数集計 表2「空き家率-全国、都道府県(2018年、2023年)」。stat.go.jp(速報PDF)
- 福岡県の総住宅数2,703千戸・一戸建42.8%・共同住宅54.8%・持ち家52.7%、全国の一戸建52.7%・共同住宅44.9%・持ち家60.9%(いずれも2023年):総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査』基本集計 結果の概要 付表「都道府県別の主な指標」。stat.go.jp(確報PDF・付表)
- 福岡県内の居住支援協議会(県+10の計11か所)と連絡先、全国192協議会(令和8年6月30日時点):国土交通省『住宅確保要配慮者居住支援協議会について』。mlit.go.jp
- 高齢化率29.3%(2024年10月1日現在):内閣府『令和7年版高齢社会白書』。cao.go.jp