大阪市で高齢者が賃貸を借りるには|窓口のある市から探す進め方

「大阪は部屋の数が多いのに、年齢を理由に断られる気がする」——そう感じている方は少なくありません。実際、オーナーが高齢の入居者に慎重になる場面はあります。ただ大阪市には福祉局自立支援課・都市整備局安心居住課という2つの相談窓口があり、府内には9市の協議会も広がっています。この記事では全国平均の話ではなく、大阪府の数字と、大阪府にある相談窓口だけを手がかりに整理します。

大阪の空き家率は「増えて」いない——全国と逆を向いた5年間

空き家が増えれば借りやすくなる、とよく言われます。全国で見ればそのとおりで、空き家率は2018年の13.6%から2023年には13.8%へ上がりました[1]

ところが大阪府は違います。2018年の15.2%から2023年は14.3%へ、逆に下がっています(速報値ベース)[1]。全国が増えるなかで空き家率を下げた都道府県は10しかなく、大阪府はその一つです[1]。低下幅では沖縄県(−1.1ポイント)・神奈川県(−1.0ポイント)に次ぐ3位タイにあたります。

これは探す側にとって、あまり楽観できない事実です。「そのうち空きが出るだろう」と待つ戦略は、大阪では効きにくくなっています。数字のうえでは、部屋の余りは5年前より減っているからです。

とはいえ、水準そのものは全国平均の13.8%より高い14.2%です(確報値)[2]。なお本記事に14.3%と14.2%の2つの数字が出てくるのは、2018年との比較ができるのは速報集計だけ(確報集計は都道府県別の2018年の空き家率を公表していない)ためで、推移は速報値、2023年の水準は確報値を使っています。「余裕が減った」だけで「無い」わけではありません。待つのではなく動いて探す——それが大阪の数字から読み取れる方針です。

それでも大阪に部屋が多い理由——共同住宅57.4%

大阪府の総住宅数は4,929千戸で、東京都に次ぐ全国2位です[2]。そして住宅に占める共同住宅(アパート・マンション)の割合は57.4%で、東京都71.6%・沖縄県60.9%に次ぐ全国3位[2]。全国平均は44.9%ですから、大阪は集合住宅の比率がきわだって高い府だといえます。

持ち家の割合は54.5%で、全国の60.9%より低い水準です[2]。裏を返せば、借りて住んでいる人の割合が全国より高いということ。賃貸で暮らすことが特別ではない土地柄で、貸す側も借り手を探すことに慣れています。

一戸建ての割合は39.8%にとどまります[2]。庭付きの家を想定して探すと候補が急に減るので、集合住宅を前提に条件を組み立てるほうが、大阪では現実的です。

相談できる市が9つある——大阪は窓口の密度が高い

ここが大阪の一番の強みかもしれません。国土交通省がまとめた居住支援協議会の一覧(令和8年6月30日時点・全国192協議会)によると、大阪府内には府の協議会に加えて9つの市区町村協議会があります[3]

府全体の窓口は大阪府都市整備部住宅建築局居住企画課(06-6210-9707)です[3]。そのうえで、次の市には独自の窓口があります[3]

  • 大阪市(福祉局自立支援課/都市整備局安心居住課)
  • 豊中市(一般財団法人豊中市住宅協会)
  • 吹田市(社会福祉法人みなと寮)
  • 箕面市・池田市(共同設置)
  • 摂津市(社会福祉法人桃林会 とりかい白鷺園)
  • 守口市(都市整備部住宅まちづくり課)
  • 八尾市(健康福祉部地域共生推進課)
  • 堺市(特定非営利活動法人カリネ)
  • 岸和田市(社会福祉法人岸和田市社会福祉協議会)

注目したいのは、窓口の運営者が市役所とはかぎらない点です。社会福祉法人やNPO法人が担っている市が複数あります。住宅の相談というより「暮らしの相談」に近い入口があるということで、体調や身元保証の不安も含めて話しやすい相手が選べます。

探すエリアを決めるとき、「協議会がある市かどうか」を条件のひとつに入れる——これは大阪だからできる絞り込み方です。

エリアで選ぶ大阪——市内/北摂/河内/泉州

大阪府は南北に長く、地域ごとに家賃も雰囲気も変わります。上記の相談窓口の分布と重ねると、次のように整理できます。

大阪市内は地下鉄が網の目のように走り、どこへ出るにも便利です。医療機関も多く、通院が続く方には安心材料になります。ただし家賃は府内で最も高くなりがちです。

北摂(豊中・吹田・箕面・池田)は、府内でも相談窓口がとくに集まっている地域です。阪急宝塚線・京都線、北大阪急行、大阪モノレールが通り、梅田まで出やすい一方、住宅地としての落ち着きがあります。

河内(八尾・守口など)は、近鉄・京阪の沿線で大阪市内へ通いやすく、家賃は市内より抑えられます。八尾市・守口市とも市の窓口があります。

泉州(堺・岸和田など)は南海本線・高野線とJR阪和線が走り、府内では家賃が落ち着いている地域です。堺市・岸和田市にも窓口があります。

候補を1つの市に固定せず、「窓口のある市」を2〜3つ並行して当たると、受け入れに前向きな物件に行き当たる確率が上がります。関西全体で見たいときは、兵庫県(神戸)で高齢者・シニアが賃貸を借りるには京都府でシニアが賃貸を探すもあわせてご覧ください。逆に共同住宅の割合が全国平均の半分ほどしかない県での探し方は、新潟県で高齢者が賃貸を借りるには|持ち家率全国4位の県で、貸家をどう探すかで紹介しています。

断られにくくするための備え

大阪でも、備えの中身そのものは他の地域と変わりません。オーナーが最も気にするのは「万一のときに、すぐ気づける仕組みがあるか」という一点です。

用意しておきたいのは、家賃保証会社の利用、緊急連絡先、そして見守りサービスです。安否確認の仕組みと、原状回復や家賃損失に備える保険をあわせて示せると、話が前に進みやすくなります。補償の範囲や上限額は商品ごとに違うので、契約前に内容を確かめてください。

保証人が見つからない場合の進め方は保証人がいない高齢者の賃貸|家賃保証会社の使い方と選び方で、準備の全体像は高齢者が賃貸を断られる理由と対策|シニアが部屋を借りるための5つの準備で詳しく説明しています。

大阪の場合、内見や申し込みの前にその市の協議会に一度電話しておくのも有効です。地域の事情を知ったうえで不動産会社に行けるので、話の通りが変わります。

まとめ:大阪は「待たずに、窓口のある市から当たる」

大阪府の数字が示しているのは、次の3点です。

  • 空き家率は14.2%と全国平均より高いが、5年前より下がっている——待つ戦略は効きにくい[1][2]
  • 共同住宅57.4%・持ち家54.5%——借りて住むことが普通の土地柄[2]
  • 府+9市に相談窓口がある——全国的にも密度が高い[3]

65歳以上の人口は全国で総人口の29.3%を占め、過去最高を更新しています[4]。高齢の入居者は、もはや例外的な借り手ではありません。制度も窓口も、その前提で整えられてきています。

焦らず、しかし待たずに。窓口のある市を2〜3つ選び、備えを揃えて相談する——大阪ではこの順序で進めると、条件の擦り合わせがしやすくなります。

出典
  1. 空き家率の推移(大阪府 2018年15.2%→2023年14.3%/全国 13.6%→13.8%):総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査』住宅数概数集計 表2「空き家率-全国、都道府県(2018年、2023年)」。stat.go.jp(速報PDF)
  2. 大阪府の総住宅数4,929千戸(全国2位)・共同住宅57.4%(全国3位)・一戸建39.8%・持ち家54.5%、全国の共同住宅44.9%・持ち家60.9%(いずれも2023年):総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査』基本集計 結果の概要 付表「都道府県別の主な指標」。stat.go.jp(確報PDF・付表)
  3. 大阪府内の居住支援協議会(府+9市区町村)と連絡先、全国192協議会(令和8年6月30日時点):国土交通省『住宅確保要配慮者居住支援協議会について』。mlit.go.jp
  4. 高齢化率29.3%(2024年10月1日現在):内閣府『令和7年版高齢社会白書』。cao.go.jp

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