「最近、トイレから立ち上がるときにふらつく」「廊下で一度転んだらしい」——離れて暮らす親の様子を聞いて、まず手すりを付けようと考えるのは自然なことです。ところが親の住まいが賃貸だと、そこで手が止まります。人の持ち物の壁に穴を開けていいのか。介護保険は使えるのか。出ていくときに元に戻せと言われないか。
この記事は、要介護・要支援の認定を受けた親が住む賃貸に手すりを付けたい子世代と、住宅改修の理由書を書く立場のケアマネジャーに向けて、工事の前に決めておくことを条文と厚生労働省・国土交通省の資料から整理したものです。
先に結論の骨だけ書きます。賃貸でも介護保険の住宅改修は使えます。そのとき、住宅の所有者(大家さん)の承諾を確認できる書類を申請に添えることが、省令で定められています。[3] つまり「賃貸だから無理」ではなく、「大家さんの承諾を先に取る」という1段階が加わるだけです。
賃貸でも介護保険の住宅改修で手すりを付けられるのか
介護保険法第45条第1項は、住宅改修の給付をこう定めています[2]。
「市町村は、居宅要介護被保険者が、手すりの取付けその他の厚生労働大臣が定める種類の住宅の改修(以下「住宅改修」という。)を行ったときは、当該居宅要介護被保険者に対し、居宅介護住宅改修費を支給する」[2]
要支援の方についても、第57条に介護予防住宅改修費として同じ仕組みがあります[2]。条文には「持ち家に限る」という限定はありません。むしろ、介護保険法施行規則第75条第3項は「住宅改修を行った住宅の所有者が当該居宅要介護被保険者でない場合」を最初から想定しています[3]。賃貸に住む人が使うことは、制度の側で織り込み済みということです。
支給額の上限を決めるときにも、賃貸に住む人のことが考慮されています。厚生労働省の通知は、住宅改修の支給対象を「住宅改修について制約を受ける賃貸住宅等に居住する高齢者との均衡等も考慮して、手すりの取付け、床段差の解消等比較的小規模なもの」としたと説明しています[4]。
対象になる工事の種類は、手すりの取付け、段差の解消、滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替え、それらに付帯して必要となる住宅改修の6つです[1]。
賃貸の住宅改修に大家さんの承諾書は必要なのか
必要です。介護保険法施行規則第75条第3項は、次のように定めています[3]。
「住宅改修を行った住宅の所有者が当該居宅要介護被保険者でない場合には、第一項第一号から第四号までに掲げる事項を記載した申請書又は書類に、当該住宅の所有者が当該住宅改修について承諾したことが確認できる書類を添付しなければならない」[3]
厚生労働省の通知も「当該住宅改修を行った被保険者と、住宅の所有者が異なる場合は、当該住宅改修についての所有者の承諾書が必要であるので留意されたい」としており[4]、同省の概要資料でも工事後に出す書類の一つとして「住宅の所有者の承諾書(住宅改修した住宅の所有者が当該利用者でない場合)」が挙げられています[1]。
ここで気をつけたいのは、承諾するのは「住宅の所有者」だという点です。ふだんの連絡の窓口が管理会社であっても、書類として求められているのは建物の所有者の承諾です[3]。承諾書の様式は申請先の市町村で確かめてください。
賃貸の契約書では手すりの取り付けはどう扱われているのか
介護保険の手続きとは別に、賃貸借契約そのものにも決まりがあります。国土交通省の賃貸住宅標準契約書第8条第2項はこう定めています[5]。
「乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の増築、改築、移転、改造若しくは模様替又は本物件の敷地内における工作物の設置を行ってはならない」[5](甲=貸主、乙=借主)
壁にネジで固定する手すりは、この「改造若しくは模様替」に当たりうる工事です。介護保険の承諾書と、契約書上の書面による承諾は、どちらも大家さんの了解を形にするものなので、1回の依頼で両方がそろうように頼むのが効率的です。親の契約書が標準契約書と違う書式の場合も、同じような「増改築」「造作」の条項があるはずなので、先に読んでおいてください。
なお標準契約書には増改築等承諾書の例も付いていて、記載上の注意として「増改築等の概要を示した別紙を添付する必要があります」とされ、承諾にあたっての確認事項は「なお、」の後に書く(例として「収去等についての事項」)と示されています[5]。この「なお、」の欄が、あとで説明する退去時の扱いを決めておく場所になります。
大家さんに手すりの設置をどう頼めばいいのか
頼む側が不安なのと同じくらい、大家さんの側も「どんな工事をされるのか」が見えないと返事ができません。頼むときは、次の4つを紙1枚にまとめて渡すと話が早く進みます。
- どこに、何本付けるか——トイレ・浴室・廊下・玄関など、箇所と長さ。見積書と完成予定の図や写真は、介護保険の事前申請でも使います[1]
- 誰が工事するか——施工する事業者の名前。事前申請の書類にも施工者の氏名又は名称を書きます[3]
- 費用は誰が払うか——介護保険の給付を受けて借主側で負担すること
- 退去するときに外すのか、残すのか——ここを最初に提案しておくと、大家さんが判断しやすくなります
「手すりが付いていれば、次に入る高齢の方にとっても住みやすい部屋になる」という見方もあるので、残してよいかどうかを大家さんに選んでもらう形にすると、話が前向きに進むことがあります。高齢の入居者についての大家さんの心配への答え方は「孤独死が心配」と言われたら|大家さんに安心してもらう伝え方にまとめています。
介護保険の住宅改修はいくらまで出るのか——自己負担はいくらか
厚生労働省の資料では、住宅改修の支給限度基準額は「生涯20万円(要支援、要介護区分にかかわらず定額)」で、保険給付は「原則9割(上限18万円)、所得に応じて8割(上限16万円)・7割(上限14万円)」とされています[1]。条文でも、住宅改修費の額は費用の「百分の九十に相当する額」で、一定以上の所得がある人は百分の八十または百分の七十に読み替えられます[2]。
- 20万円は一度に使い切らなくてよい。限度額の範囲内であれば、複数回の申請もできます[1]
- 要介護状態区分が重くなったとき(三段階上昇時)には、改めて20万円までの支給限度基準額が設定されます[1]。通知によれば、この扱いは1回に限られます[4]
- 転居した場合も、再度20万円までの支給限度基準額が設定されます[1]。支給限度額の管理は現に住んでいる住宅に係る住宅改修費だけが対象だからです[4]
3つめは、あとで住み替えを考えるときにも効いてきます。今の部屋で手すりに使った分は、引っ越し先の限度額から差し引かれません。なお市町村は、条例で20万円を超える額を限度基準額とすることもできます[2]。上乗せがあるかどうかは、住んでいる市町村の窓口で確かめてください。
住宅改修の申請は工事の前に何を出すのか——理由書は誰が書くのか
いちばん大事な順番は「申請が先、工事が後」です。施行規則第75条第1項は、住宅改修を「行おうとするときには、あらかじめ」書類を提出し、完了後に領収証などを提出するとしています[3]。厚生労働省の資料が示す流れは次のとおりです[1]。
- ケアマネジャー等に相談する
- 施工事業者を選び、見積もりを依頼する
- 工事の前に市町村へ申請する(支給申請書・工事費見積り書・住宅改修が必要な理由書・完成予定の状態が分かるもの)
- 市町村が内容を確認し、結果を知らせる
- 工事をして、施工業者へ支払う
- 工事の後に市町村へ支給申請する(領収書・工事費内訳書・改修前後の写真・住宅の所有者の承諾書)
- 支給額が決まり、支給される
「住宅改修が必要な理由書」を作るのは、介護支援専門員、地域包括支援センター担当職員、作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験2級以上その他これに準ずる資格等を有する者とされています[1]。ケアマネジャーが付いていれば、まずその人に相談するのが近道です。まだ要介護・要支援の認定を受けていない場合は、給付の対象が認定を受けた被保険者なので[2]、認定の申請から始めることになります。
大家さんの承諾は、この流れの2と3のあいだで取っておくのが安全です。承諾書そのものは工事後の書類として並んでいますが[1]、承諾がないまま工事に入ると、契約書第8条第2項の問題が先に生じるからです[5]。
退院に合わせて工事を急ぎたいとき、後から申請できるのか
入院中の親が「退院したら手すりのある部屋に戻りたい」という場面では、申請の結果を待っていると退院日に間に合わないことがあります。
施行規則第75条第2項は、「やむを得ない事情がある場合には、住宅改修が完了した後に」申請書などを提出できるとしています[3]。厚生労働省の通知は、その「やむを得ない事情」の例として「入院又は入所者が退院又は退所後の住宅での受け入れのため、あらかじめ住宅改修に着工する必要がある場合等」を挙げています[4]。
ただし、これは例外の扱いです。工事の前に、ケアマネジャーや病院の退院支援の担当者を通じて市町村に相談しておくと、後から「対象外だった」と分かる事態を避けやすくなります。大家さんの承諾が要ることは、事後申請でも変わりません[3]。入院をきっかけに部屋を残すか手放すかを考える場面は高齢の親が入院したときの賃貸の解約|いつ決めるか・家族が代われるか・荷物はどうするかで整理しています。
工事をしない手すりなら、介護保険で借りられるのか
壁に穴を開ける工事に抵抗がある場合は、介護保険の福祉用具貸与という別の道があります。福祉用具貸与の対象種目には「手すり」が含まれています[6]。
ただし種目を定めた厚生省告示には、手すりについて「取付けに際し工事を伴わないものに限る。」と書かれています[7]。床に置くタイプや、床と天井で突っ張って固定するタイプのように、工事をしないで設置できる手すりが貸与の対象ということです。
福祉用具貸与の種目のうち、手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ以外は要支援と要介護1の方は原則として対象外とされていますが[6]、手すりはこの例外に入らないので、要支援の段階から検討できます。壁に穴を開けないので契約書の「改造」に当たる場面は少なくなりますが、突っ張り型でも天井や床に跡が残ることはあるので、設置の前に管理会社へ一言伝えておくと安心です。どちらが合うかはケアマネジャーと福祉用具専門相談員に相談してください[6]。
退去するとき、付けた手すりは外さないといけないのか
ここは、工事の前に決めておかないと退去のときにもめやすい論点です。
民法第622条は、使用貸借の第599条第1項・第2項を賃貸借に準用しています[8]。第599条第1項は、借りた物に「附属させた物」がある場合、終了時に「その附属させた物を収去する義務を負う」とし、「ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない」と定めています[8]。原状回復について定めた第621条は、「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」を原状回復の対象から除いています[8]。標準契約書第15条第1項も「乙は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗及び本物件の経年変化を除き、本物件を原状回復しなければならない」としています[5]。
手すりそのものは外せる物なので、何も決めていなければ、退去時に外すことを求められる可能性があります。さらに、国土交通省の原状回復ガイドラインは、「重量物の掲示等のためのくぎ、ネジ穴は、画鋲等のものに比べて深く、範囲も広いため、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる」としています[9]。手すりを外したあとのネジ穴の補修を誰が負担するかも、あらかじめ決めておきたいところです。
そこで効いてくるのが、国土交通省の標準契約書の解説です。「紛争防止の観点から、増改築等の際には、原状回復の有無や有益費償還請求、造作買取請求の有無についての事項を増改築等承諾書において事前に合意しておくことが望ましいと考えられる」とし、承諾書のなお書きとして『なお、○○(附属物の名称)については、収去義務を負わないものとする。』等の記載が考えられる、と例示しています[5]。
つまり、承諾書に「退去時に手すりを外すか、残してよいか」「ネジ穴の補修をどうするか」まで書いてもらうのが、国の解説どおりの進め方です。大家さんが「残してよい」と言ってくれるなら、その一文を書面に入れておきましょう。
大家さんに断られたとき、住み替えという選択肢はあるか
承諾は大家さんの判断なので、断られることもあります。また、手すりを付けても玄関の段差や浴室の構造が変えられず、改修だけでは暮らしが成り立たないと分かることもあります。
そのときは、「今の部屋を直す」から「最初から段差の少ない、手すりの付いた部屋へ移る」に考えを切り替える時期です。先に書いたとおり、転居すれば住宅改修の支給限度基準額は改めて20万円まで設定されるので[1]、移った先で必要な改修をもう一度検討できます。住み替えの進め方は高齢の親の住み替え|家族が知っておく賃貸の進め方に、段差のない床や浴室の手すりを住宅の基準に含む制度については終身建物賃貸借とは?亡くなるまで住み続けられる賃貸契約の条件・解約・探し方にまとめています。日常生活に介助が要る状態であれば、シニア向け賃貸とサ高住・有料老人ホームの違い|住まいの選び方もあわせてご覧ください。移る先の部屋で段差や手すりをどう確かめるかは高齢の親の賃貸、内見で何をチェックするか|段差・階段・エレベーターと浴室・トイレの見方で整理しています。
最初から手すり・段差の少ない部屋へ住み替える相談をする——いまの部屋で承諾が得られなかった事情や、必要な設備の条件を先に伝えたうえで探せます。
手すりを付けたあとに残る「倒れたとき誰が気づくか」
手すりは転倒への備えのひとつです。けれど、離れて暮らす家族にとってもう一つの心配は、万一倒れてしまったときに、それに誰がどれくらいで気づけるかです。手すりの工事は、その問いには答えてくれません。
介護サービスの訪問がある日とない日で、気づける早さは変わります。設備で転倒に備えることと、異変が家族に届く仕組みを持つことは、別々に用意するものです。見守りの仕組みを誰が契約し、誰に連絡が届くのかは高齢者の賃貸と見守りサービス|誰が契約し、費用は誰が払い、誰に連絡が届くのかで整理しています。
転倒や動きの途絶が家族に届く形にしておく——手すりの相談とあわせて、大家さんに伝えられる安心材料にもなります。
まとめ:承諾書で「外すか残すか」まで決めてから工事する
この記事で確かめたことを、短く並べます。
- 介護保険の住宅改修は賃貸でも使える。所有者が本人でない場合は所有者の承諾を確認できる書類を添付する(介護保険法施行規則75条3項)[3]
- 契約書でも、改造・模様替には貸主の書面による承諾が要る(標準契約書第8条第2項)[5]
- 支給限度基準額は生涯20万円で、保険給付は原則9割(上限18万円)。三段階上昇時と転居時は改めて20万円[1]
- 申請が先、工事が後。理由書はケアマネジャー等が作る[1][3]
- 退院後の受け入れのために先に着工する場合などは、やむを得ない事情として事後申請の扱いがある[3][4]
- 工事を伴わない手すりは福祉用具貸与の対象で、要支援から検討できる[6][7]
- 何も決めていなければ、退去時に外すことを求められる可能性がある(民法622条・599条1項)[8]。承諾書のなお書きで収去の有無を決めておく[5]
賃貸だからと手すりをあきらめる必要はありません。大家さんに紙1枚で工事の中身と退去時の扱いを示し、承諾を書面にしてから工事に入る。その順番さえ守れば、介護保険の仕組みは賃貸に住む人にもきちんと開かれています。
- 住宅改修の種類が「手すりの取付け」「段差の解消」「滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更」「引き戸等への扉の取替え」「洋式便器等への便器の取替え」「その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修」であること、支給限度基準額が「生涯20万円(要支援、要介護区分にかかわらず定額)」で「住宅改修が個人資産の形成につながる面があること、賃貸住宅等に居住する高齢者との均衡等を考慮」したものであること、保険給付が「原則9割(上限18万円)、所得に応じて8割(上限16万円)・7割(上限14万円)」であること、限度額の範囲内であれば複数回の申請も可能であること、要介護状態区分が重くなったとき(三段階上昇時)と転居した場合は再度20万円までの支給限度基準額が設定されること、手続きの流れ(ケアマネジャー等に相談→施工事業者の選択・見積もり依頼→工事前に市町村へ申請→市町村が内容を確認し結果を教示→施工・支払→工事後に支給申請→支給額の決定・支給)、事前申請の提出書類(支給申請書・工事費見積り書・住宅改修が必要な理由書・完成予定の状態が分かるもの)と理由書の作成者(介護支援専門員、地域包括支援センター担当職員、作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験2級以上その他これに準ずる資格等を有する者)、事後申請の提出書類に「住宅の所有者の承諾書(住宅改修した住宅の所有者が当該利用者でない場合)」が含まれること:厚生労働省『介護保険における住宅改修』(2026年9月11日閲覧)。mhlw.go.jp(PDF)
- 市町村は居宅要介護被保険者が「手すりの取付けその他の厚生労働大臣が定める種類の住宅の改修」を行ったときに居宅介護住宅改修費を支給すること(第45条第1項)、その額が費用の「百分の九十に相当する額」であること(同条第3項)、市町村は条例で支給限度基準額を超える額を当該市町村の限度基準額とできること(同条第6項)、一定以上の所得を有する者は「百分の八十」または「百分の七十」に読み替えられること(第49条の2)、居宅要支援被保険者には介護予防住宅改修費を支給すること(第57条):e-Gov法令検索『介護保険法』(平成九年法律第百二十三号、2026年9月11日閲覧)。laws.e-gov.go.jp
- 住宅改修を「行おうとするときには、あらかじめ」申請書又は書類を提出し完了後に領収証等を提出すること、事前の書類に住宅改修を施工する者の氏名又は名称と、介護支援専門員その他の者が作成する必要な理由を記載した書類が含まれること(第75条第1項)、「やむを得ない事情がある場合には、住宅改修が完了した後に」申請書又は書類を提出できること(同条第2項)、「住宅改修を行った住宅の所有者が当該居宅要介護被保険者でない場合には、第一項第一号から第四号までに掲げる事項を記載した申請書又は書類に、当該住宅の所有者が当該住宅改修について承諾したことが確認できる書類を添付しなければならない」こと(同条第3項):e-Gov法令検索『介護保険法施行規則』(平成十一年厚生省令第三十六号、2026年9月11日閲覧)。laws.e-gov.go.jp
- 住宅改修の支給対象を「住宅改修について制約を受ける賃貸住宅等に居住する高齢者との均衡等も考慮して、手すりの取付け、床段差の解消等比較的小規模なもの」としたこと、三段階上昇時の再設定は1回に限られること、支給限度額管理は現に居住している住宅に係る住宅改修費のみを対象とし転居した場合には改めて支給限度基準額までの支給を受けることが可能となること、「当該住宅改修を行った被保険者と、住宅の所有者が異なる場合は、当該住宅改修についての所有者の承諾書が必要であるので留意されたい」こと、やむを得ない事情がある場合とは「入院又は入所者が退院又は退所後の住宅での受け入れのため、あらかじめ住宅改修に着工する必要がある場合等」をいうこと:厚生労働省『居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について』(平成12年3月8日 老企第42号、2026年9月11日閲覧)。mhlw.go.jp
- 第8条第2項「乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の増築、改築、移転、改造若しくは模様替又は本物件の敷地内における工作物の設置を行ってはならない」、第15条第1項「乙は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗及び本物件の経年変化を除き、本物件を原状回復しなければならない」と定められていること、第8条第2項の解説で「紛争防止の観点から、増改築等の際には、原状回復の有無や有益費償還請求、造作買取請求の有無についての事項を増改築等承諾書において事前に合意しておくことが望ましいと考えられる」とされ、承諾書のなお書として『なお、○○(附属物の名称)については、収去義務を負わないものとする。』等の記載が考えられるとされていること、増改築等承諾書(例)の記載上の注意として「増改築等の概要を示した別紙を添付する必要があります」「承諾に当たっての確認事項等があれば、「なお、」の後に記載してください」(例:収去等についての事項)とされていること:国土交通省『賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版・連帯保証人型)』(2026年9月11日閲覧)。mlit.go.jp(PDF)
- 福祉用具貸与の対象種目に「手すり」が含まれること、「福祉用具貸与のうち、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ以外の種目については、要支援及び要介護1の方は、原則給付の対象外」とされていること、福祉用具貸与は担当のケアマネジャーと福祉用具貸与事業者に相談の上で貸与する用具を決定すること:厚生労働省『福祉用具・住宅改修』(2026年9月11日閲覧)。mhlw.go.jp
- 福祉用具貸与の種目として「手すり 取付けに際し工事を伴わないものに限る。」と定められていること:厚生労働省『厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目』(平成11年3月31日 厚生省告示第93号、2026年9月11日閲覧)。mhlw.go.jp
- 第622条が第599条第1項及び第2項を賃貸借に準用していること、第599条第1項「借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない」、第621条が原状回復の対象となる損傷から「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」を除いていること:e-Gov法令検索『民法』(明治二十九年法律第八十九号、2026年9月11日閲覧)。laws.e-gov.go.jp
- 壁等のくぎ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替が必要な程度のもの)について「重量物の掲示等のためのくぎ、ネジ穴は、画鋲等のものに比べて深く、範囲も広いため、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる」とされていること:国土交通省住宅局『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)』(平成23年8月、2026年9月11日閲覧)。mlit.go.jp(PDF)
出典URLはいずれも2026年9月11日に閲覧し、掲載内容を確認しています。支給限度基準額・給付割合は同日時点の制度に基づくもので、市町村の条例による上乗せや承諾書の様式、受付の手順は自治体によって異なります。退去時の扱いは契約書と大家さんとの個別の合意によって決まります。
手すりが付けられないとき・住み替えを考えたいときのご相談
大家さんの承諾が得られなかった、改修だけでは暮らしが成り立たない、段差の少ない部屋へ移りたい——そうした事情を先に伺ったうえで、高齢の方の入居に前向きな窓口におつなぎします。介護の認定や住宅改修の検討中の段階でもご相談いただけます。